『Never Rarely Sometimes Always』
『Never Rarely Sometimes Always』
を観てきました。以下ネタバレありです。
東京では今週末が最終公開だったそうです。(東京の方、この記事の公開がこのタイミングですみません。。)
邦題は『17歳の瞳に映る世界』
原題は『Never Rarely Sometimes Always』とのことで、最初どういう意味なんだろう、と思って観ていましたが、映画終盤にてこのセリフが明らかに。
配給はBITTERS ENDさん。(やっぱり素晴らしいです、拍手喝采)
17歳の少女オータムが主人公。冒頭の文化祭のようなイベントでもみんながペアで出ているのに1人で歌を披露し、友達がいるようにも見えず、従兄弟のスカイラーしか相談できるような人もいないオータム。
予期せぬ妊娠により、両親の同意なく中絶手術ができないペンシルバニア州からNYに2人で長距離バスで行って、中絶手術をしにいく2日間の話。
ちなみに、アメリカでは2018年頃からオハイオ、ミシシッピー、ケンタッキー、アイオワ、ノースダコタ、ジョージアの各州で胎児の心拍が確認できるようになった時点で中絶を禁止とする厳しい中絶禁止法が次々と成立している。胎児の心拍が確認できるのは一般的に妊娠6週目ごろらしい。
オータムはペンシルバニアの病院(病院ともいえるのかよくわからない診療所みたいなところ)で10週目くらいだと言われている。
10週目くらいだと中絶手術ができる病院も多いようだったが、実際にNYの病院で検査したらすでに17週目に入っていた。
(手術をする前に「検査」が必須だと説明されるシーンがある。オータムは「すでに検査を受けていて問題ないがする必要があるのか?」と問うシーンがある。望まない妊娠であればやはり検査が必須となるのはこういう背景もあるんだなと思った)
ペンシルバニアからNYに行く長距離バスの中で、ちょっと年上くらいの男の子にスカイラーが声をかけられて、電話番号を交換するんだけど、NYにいる最中にお金が足りなくなり、この男の子を呼び出すというシーンがある。
男の子はスカイラーといい感じに過ごしながら、3人でボウリングしたり、カラオケしたりするのだけど、最後にスカイラーから「お金を貸して欲しい」と言われ、快諾。
2人でATMに行くんだけど、行く途中でキスをする。
そして男の子からお金を借りて、別れる。
このシーンを観てて、女だったらお金がなくなったら若さと身体でお金を工面するんだろうなと思いながら、もしこれが男だったらどうする?
と思って、男だったら強盗する・カツアゲするとかなんだろうなあと。
やっぱり、男は「強くある」ことが生きていく術で女は「セクシー」であることが生きていく術なのかなあとか。
強盗やカツアゲは犯罪だけど、キスしたりするのは犯罪じゃないし、やっぱり女のほうがイージーに生きられると思われても仕方ないのかなとか、そういうことがあるからこうやって望まない妊娠が起きるのだろうか、などと考えたり。
そしてこの題名が明らかにされるのは、NYの施設。
オータムたちが訪れるPlanned Parendthood(全米家族計画連盟)での印象的なシーン。Planned Parendthoodとは、世界的にリプロダクティブヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)を提供する非営利団体のアメリカ支部のことらしい。
オータムが中絶手術を受ける前に、診察室でカウンセラーから「相手との関係もきかせて。とても大事なことなの」と問診を受ける。立ち入った質問をする、との前置きのあと「答えは4択。一度もない、めったにない、時々、いつも。テストじゃないから」と優しく語りかけるカウンセラーに、終始表情が硬いオータムも「オッケー」とようやく口を開く。
「この1年間で相手がコンドーム装着を拒否した?」
「相手が避妊の邪魔をして妊娠させようとした?」
「相手に脅された?」
「相手に殴られたり、暴力をふるわれた?」
「一度もない/めったにない/時々/いつも」(Never/Rarely/Sometimes/Always)から1つ選んで答えるオータム。
この映画では誰の子を妊娠したのかは明らかにされない。
どうして妊娠したのかも明らかにされない。
そして手術が終わった後の、オータムとスカイラの笑顔や17歳らしい姿がすごく晴れやかで2人のこれからの明るさが感じられた。
先日はPromising Young Womenを観たのでそちらについてもまとめたいなと思います。